繁桝江里『ダメ出しコミュニケーションの社会心理学』誠信書房

http://www.seishinshobo.co.jp/book/b88146.html

結構前に読んだ。割と内容忘れた。

雑感(雑な感想)

全体的に、特に専門家でもなく関連分野の知識があるわけでもない人向けに、世間知的な興味を引くことを意図した書き方(コミュニケーションって難しいよね?職場で後輩を注意するとか大変だよね?的な)がされている割に、論述自体はRQが複雑で一読して把握しにくい(ほとんどの社会心理の研究がそうである程度には)。確かに前者を除けば普通の専門書になってしまうし、後者を除くと本書の議論が成立しなくなってしまうのだが、この感じだと対象読者がどういう人かいまいち判然としない。

人が「ダメ出し」をするときと、されるときとで、ある発話や行為を「ダメ出し」だと受け取る頻度や強度には有意なずれがある、という指摘は興味深い(特に第五章)。ポライトネスやコンフリクト場面の研究において、ある理論が話し手もしくは聞き手の側にのみ立っているという指摘は頻繁にされるので、こういう指摘は有意義だと思う。(実は私も修士のときに同様の主張にもとづく発表をしたことがありますが、思い出したくないのでリンクしません。)

スノーボールサンプリングによって「話し手」「受け手」のペアを抽出して質問を行っており、日常的にコミュニケーションをとっている相手同士の認識をペアで得られる方法として興味深い。

なんか、被験者の「話し手」としての得点と「聞き手」としての得点の対応づけについておかしいところがあるような気がしたんだけど、そのときメモしなかったのでわからなくなってしまった。誤解かも。